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御真言とお経


真言とは仏教の経典の中に書かれているサンスクリット語(インドの言語の一つ)の呪文のことで、真言を唱えることで、発願を仏に直接働きかけることができるといわれています。少し長めの真言を陀羅尼といいますが、古来より真言や陀羅尼は様々な霊験談があり、真言宗(東密)や天台宗(台密)などの真言密教だけではなく、一部を除く多くの仏教宗派でも唱えられています。

聖天様をお祀りする寺院は密教系の寺院が大部分ですが、聖天様にお祈りをする場合は聖天様の御真言や十一面観音菩薩様の御真言の他に、聖天様を御供養するために光明真言などを読誦します。

聖天様の御真言

心中呪(増益)

Om hrih gah hum svaha

オン キリク ギャク ウン ソワカ(真言宗系)

オン キリ ギャク ウン ソワカ (天台宗系)

心中心呪(調伏)

Om gah gah hum svaha

オン ギャク ギャク ウン ソワカ

心中呪で「キリク」と読む部分は、もともとのサンスクリット語の発音「フリーヒ(hrih)」が訛ったものであり、「フリーヒ」を真言宗では「キリク」、天台宗で「キリ」と読んでいます。どちらかが誤りというわけではないので、普段お詣りをする寺院の宗派に合わせて唱えれば良いと思われます。

十一面観音菩薩様の御真言

Om lokesvara hrih

オン ロケイ ジンバラ キリク

Om maha karunikaya svaha

オン マカ キャロニカ ソワカ

聖天様にお祈りするとなるとつい聖天様の御真言ばかりを唱えがちになりますが、十一面観音菩薩様に祈れば十種の勝利と四種の功徳がもたらされるといわれ、その御真言には聖天様のお怒りを鎮める効果もあるといわれています。聖天寺院からの授与品(お守りやお札)には十一面観音菩薩様の御姿が描かれているものが多いことからも、回数は同じでなくても、聖天様の御真言とセットでお唱えしたい御真言と言えるでしょう。どちらの御真言でも構わないと思いますが、待乳山聖天などでは「オン マカ キャロニカ ソワカ」の御真言が主に読誦されています。

十一面観音菩薩像

光明真言

om amogha vairocana

オン アボキャ ベイロシャノウ 

maha-mudra mani padme

マカボダラ マニ ハンドマ

jvala pravartaya hum

ジンバラ ハラバリタヤ ウン

光明真言は古来より最も霊験談が多い御真言の一つです。この御真言は大日如来様の御真言であると同時に、諸仏諸菩薩の総呪であるとされ、これを奉持し、読誦すれば無量無辺の功徳ありと言われています。よく精霊回向に用いられる御真言ですが、罪障消滅の功徳の他に、貴人の敬愛を得る、魔性を降伏する、美貌を得る、また、いかなる神祇や天部にも無上の法楽となるといった功徳があると言われています(「印と真言の本」学研より)

江戸時代の聖天行者で、京都の山崎聖天を開いた木食以空上人は、毎日一万遍の光明真言を読誦して聖天様への法楽としていたと伝えられています。上人は「歓喜天は衆人には見せてはいけないお姿なので、どうか見せてもよい別のお姿を写させてほしい」とお祈りし、修行した結果、歓喜童子が上人の前に出現し、秘印と除死難のお守りを授けたと言われています。この時写された歓喜童子の御姿は、歓喜天を祀る数々の霊跡で今も御札として授与されています(「印と梵字ご利益・功徳辞典」児玉義隆著より)

木食以空上人が開いた山崎聖天

聖天様へのお祈りでは御真言の他にお経も読誦します。聖天様へのお祈りで最もよく唱えられるお経は般若心経と観音経ですが、聖天様への御礼の法会である大般若転読会では、大般若理趣分が読誦されることが多いです。

般若心経

『大般若波羅蜜多経』(大般若経)のエッセンスをまとめたお経で、古来から写経や読誦など、多くの人々の信仰を集めてきました。内容的には、主に観自在菩薩=観音菩薩様が舎利子に対して、この世界を実相を語っているもので、「色即是空 空即是色」という部分が有名です。最後の「羯諦羯諦(ぎゃーていぎゃーてい)波羅羯諦(はらぎゃーてい)〜」の部分は真言陀羅尼の音写になっています。

大般若経系のお経は唱えると天部の神様がお喜びになるといわれ、当然ながら般若心経にも同様の功徳があるといわれています。神様がお喜びになるという理由から神社などで読誦されることもあり、神様の御供養には欠かせない基本的なお経になっています。

昔から重大な祈願をする際には、千巻心経といって、一つの願いに対して般若心経を千回唱える修行があります。一人で千回が通常ですが、行事として行う時は参加者の人数で割った数を各々が読誦します。

昭和の時代に小原弘万(おばら ひろかず)という人が、12年9ヶ月の年月をかけて般若心経の100万回読誦を達成し、その結果として仏尊の大きな功徳を受け、予知力、透視力、自動書記、霊感力、念写力などの密教行者さながらの霊能力が身に付いたそうです(「密教念力入門」中岡俊哉著より)

江戸時代の盲目の学者、塙保己一が、北野天満宮に『般若心経』100巻を千日間あげて『群書類従』の完成を祈願し、41年かけて見事、文政2年(1819)に『群書類従』全670冊の刊行に成功しました。


日本ではもっともポピュラーなお経である般若心経

観音経

観音経は、全二十八品(品は章の意味)から成る『法華経』の中の第二十五品の別称で、日本では般若心経の次にポピュラーなお経です。 内容的にはお釈迦様が、観音菩薩の功徳について語っているもので、観音菩薩の名を称えたり、観音菩薩の力を観想したりすると、この世の様々な災厄から救済される功徳があると説いています。

観音経の中には「世尊妙相具〜」で始まる偈文が含まれており、この偈文(詩の部分)を読むと全文を読むのと同じ功徳があるとされているので、観音経偈として、ここの部分と最後の部分だけを読むことが多いです。

比叡山延暦寺の座主であった故山田恵諦師は、五十歳のとき第二次世界大戦中に沖縄に祈祷僧として派遣されましたが、その帰路、産業挺身隊として本土へ働きにゆく沖縄の中学生の男女千五百人を輸送する船団に同乗して帰ることになりました。戦時中の航路は敵の攻撃を受ける可能性が高く、非常に危険なものでした。ふと観音経に「たとえひとりでも私を念ずるものがあれば、その船は沈めない」という意味の功徳があることが思い浮かび、中学生を死なせないため、乗船するまでに二十五日間、日に七十五巻の観音経を唱え、乗船してからもひたすら観音経の読経を繰り返し、無事に本土に帰還出来たとのことです(「真言陀羅尼とお経 ご利益・功徳辞典」大森義成著より)

大般若理趣分

『大般若経』六百巻のうち、第五百七十八巻にあたる経典を理趣分と呼んでいます。理趣分経とも言われますが、『大般若経』のエッセンスとも言われる経典です。主に天台宗と禅宗の祈祷用に多用されるお経ですが、素人が読むと最初のうちは一時間弱かかります。理趣分の御利益は、得財、聡明、除病、悪魔降伏、業障消滅、安楽往生など多岐にわたると言われ、読誦すれば聖天様やその他の天部の神様の御法楽になると言われています。

特にこの経典の功徳が顕著なのが瀕死の病人に対する祈祷で、拝む者がその功徳を信じようと信じまいと、一週間拝むと一週間目に治る者は治り、亡くなる者は亡くなるそうです。まだ寿命のある者は助かり、苦しくてなかなか死に切れない者は安らかに逝くとされています。前出の山田恵諦師は、『観音経』の他にこの理趣分を深く信仰されていて、理趣分に得財の功徳があることを熟知されており、比叡山の小僧さんに「君たちは小遣いが十分もらえるか、もらえないのなら『理趣分経』を1000巻読んでごらん」と言ったと伝えられています(「お経の本」学研より)

『聖天信仰の手引き』で知られる林屋友次郎博士は聖天信仰が深まるにつれ、理趣分をよく読誦されていたようで、知り合いにも読むように熱心に勧めていたそうです。

市販されている
理趣分の経本

『大般若経』は玄奘三蔵が16年間の苦難の旅の末、天竺(インド)から持ち帰ったものですが、『大般若経得験伝』という古い書物には大般若経の功徳が次のように書かれています。

1  大般若経の文字が金色の仏となって虚空に現れた

2  大般若経の納まっている地を踏んで三悪道(地獄・飢餓・畜生)からまぬがれた

3  大般若経の功徳は極楽に往生する近道であり安楽死を得る

4  大般若経のお礼の功徳で、疫病が門内に入ることが出来ない

5  大般若経の功徳で閻魔(えんま)の許しを受けて生き返った

6  北京というところの人の子は、生まれ出ると大般若経の題目を唱えた

7  大般若経の供養へ文殊菩薩が来臨し給うた

8  初めて大般若経を翻訳した時、枯木に花が咲いた

9  大般若経建立へ助力した功徳が冥途へ通じた

10 大般若経を開いた人を天人は常に尊び守る

11 大般若経より光明を放ち、天より花の雨が降った

12 聖徳太子も大般若理趣分を誦したもうた

13 三世の諸仏もこの般若の力によって正覚を得たもうた

玄奘三蔵が帰路の途中で出会った鬼神が改心して仏教に帰依し、十六善神として大般若経を守護し、大般若経を保ち奉る人達を守っていると伝えられています。大般若経や理趣分を大事にする人には十六善神のご加護がありますが、逆に粗末な扱いをする人には罰が当ると言われていますので、理趣分の経本を手に入れた場合は大事に扱って下さい。